ソンブレロはカラスの対角に・・・
・・・田中さんが撮影をしている間に私はJ架台の水平を撮り始め、折角追い込んでいた極軸も大きくズレ、もう何度目だろうかとあきれるような極軸合わせを始めていた。体と頭にしみ込んだガイド星のズレは順調に回復し、いよいよ星が止まった。赤道儀からOKサイン?が出た時、もう午前3時になろうとしていた。
宙はもう春の配列、鳥肌をおぼえたディープスカイを撮りたいと星々を透かして目が探していた。撮れるときに南の天体を・・とよくそんな話を耳にしていたので、南中近いソンブレロ銀河に望遠鏡を向けた。ソンブレロは肉眼で見えるものではないが、その位置は手動導入屋にとって分かりやすい座標。構図をとるために試写を繰り返し、ようやく決まった構図。1500㎜とはいえ大きくはないソンブレロだ。しかしこれほど神秘的な銀河はあまりない。ビールケースの踏み台に上りリモコンをスタートさせた。
処理をしながら気が付いたソンブレロ周辺の小さな銀河は群れをなし、それよりずっと遠方に浮かぶ宇宙だと実感でき、暖かな部屋の中でも鳥肌が立ってきた。だから星見は止められない。