シーズン入り前に少しでも製作しようと、数日間染めの予定を入れていた。暖かだという天気予報だがみずがき湖辺りは今日も肌寒く、それにものすごい強風が吹き荒れていて、半開きにしていたドアが突風に吸われ勢いで開いたりを繰り返した。
そして、染色用の窯に火を入れ、続きのシルクスカーフ、ストールを投入しゆっくりと過熱していく。
一定の温度に上がったらそれを保ちながら、周りにいくつものたらいを並べ媒染剤を作り、一枚ずつ丁寧にかくはんしながら目的の色に染めていく。一種類の染料から10色ほどの色を染める。
これが一種類の染料から染めたバリエーションだ。今回のスカーフは凄く薄くエレガントかつデリケートな生地で、手や指にささくれがあると引っかかってしまい糸が伸びてしまいそう、なので慎重丁寧に作業を進める。
今度は赤系の染料を火にかけ、スカーフをかくはんすると何だか野菜鍋を煮ているようないい匂いとともに、生地に赤色が染まりついていく。
スカーフの中にバラの花や、ドットのような立体模様が織り込まれていてなかなかの高級感を醸し出す。今回染めているのは春夏用として色を決めているが、草木で染めた色というのは嫌な感じのものは殆どできない。可愛い系、渋い系、涼しい系・・・、など色や濃淡で印象は大きく変わる。女性の場合こうしたものとのコーディネートはどうやって決めるのだろうか・・・などと分からずとも考えながら作業は進む。
午後になると少し疲れてペースが落ちてくるが、それまでとは全く違った染色方法の藍の煮染めで色を染める。淡い色から濃い色までベースの藍の濃度と時間を変えて染める。
夕方にはかなりの枚数が染まりホールに干した。なかなかの良い眺めだと感じた。草木染はまだ数日かかる予定で、 10連休頃にはビジターセンターの売り場に登場しているはず。
こうして染め物が沢山出来ていくのを見ると達成感を感じられ、気持ちもほっこりしてくる。
閉店して帰りがけにぐるっと回ると駐車場に愛好会のKさんがいた、撮影に来られていてしばし話し込んだ。染めや家業のシイタケ、畑などが上手く回り始めると私にも天文の時間がやってくる。
この時期とける土の香りが漂い、32年も前のハレー彗星を思い出す。土の香り、彗星、染め、とくればここも春満開となる。